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登録日:2026/5/27

市区町村・児童相談所のための実践ガイド 子ども虐待対応における対話と協働――解決志向とサインズ・オブ・セーフティの提案

出版社
明石書店
発売日
2025/12/8
ISBN
9784750360126
ASIN
4750360120

補足情報

openBDに収録されている書誌情報を表示しています。

ページ数
280ページ
価格情報
3,000円(税抜)

内容紹介

子ども虐待対応の現場で奮闘する仲間に向け、子ども中心・家族主体の実践を築き「支援者としての誇り」を取り戻す道を提案。その具体策として、解決志向アプローチ(対話)とサインズ・オブ・セーフティ(ソーシャルワーク)の活用法を、平易に示す。

版元コメント

はじめに  (…前略…)  本書は第1章で、私が危機介入と支援のはざまで、いつも揺れ動きながら子ども虐待対応に取り組んできた歴史を振り返りながら、子ども中心・家族主体の子どもの安全づくりに触れます。また、私が行った職権によって一時保護をされた家族へのインタビューから教えていただいた、子どもを一時保護されるという困難を乗り越え、児童相談所といかに向き合ってきたのかについて紹介し、保護者と児童相談所、市区町村子ども相談担当が家族と協働するためのテーマに言及します。  第2章は、児童相談の現場で行われる解決志向アプローチについて紹介します。本書は、「子ども虐待対応」を念頭に置いていますので、解決志向アプローチについても、第3章のサインズ・オブ・セーフティ・アブローチへの展開を想定していますが、ここでは単に質問技法に限定せず、解決志向アプローチの考え方も含めた全体像を概観したいと思います。それは、解決志向アプローチが、単に面接技法にとどまらず、児童相談所、市区町村こども相談担当が行う広範な児童相談に対して、問題の原因追及から、すでに存在する問題の例外に注目し、問題の解決から解決の構築に支援のパラダイムを転換する大きな可能性を私たちに示しているからです。子ども虐待、あるいは「問題とされた子ども」「問題とされた家族」と向き合うことの多い現場で、あるいは、本心からすれば、児童相談所、市区町村子ども相談担当と関わりたくはなかったと思う子ども・家族だからこそ、あえて問題に注目しない、解決の構築に支援のパラダイムが変わっていくことで、子どもや家族にとって私たちとの出会いが意味のある時間を構築していくことになるのです。  第3章は、サインズ・オブ・セーフティ・アプローチになります。第2章で紹介した解決志向アプローチは、市区町村子ども相談担当、児童相談所が行う児童相談に新たな可能性をもたらしますが、子どもの安全については、解決志向アプローチだけで取り組むと、ときに子どもを危害に巻き込んでしまうことがあります。解決志向アプローチの優れた哲学、面接技法はサインズ・オブ・セーフティ・アプローチのプロセスの中で取り扱われ、危害も安全も同時にバランスを保ちながら、ソーシャルワークが構築され、展開されていきます。  第4章はサインズ・オブ・セーフティ・アプローチの実際の2つの事例を紹介します。2つの事例は、いずれもサインズ・オブ・セーフティ・アプローチの日本ギャザリングで発表されたものです。ここでいう実践は、家族と児童相談所、市区町村子ども相談担当の協働の実践を指します。専門職とされる私たちが家族を見立て、介入していったものではありません。家族の物語が、市区町村子ども相談担当、児童相談所と重なり、織りなす物語を行間から読み取ってください。  第5章は、中野区におけるサインズ・オブ・セーフティ・アプローチの組織的導入の取り組みを紹介します。サインズ・オブ・セーフティ・アプローチというOSの中に、子ども中心、家族主体の様々なソフトがインストールされています。子どもの権利擁護、子ども・家族の実践への主体的参画、里親との協働、施設をはじめとしたあらゆる機関と連携しながら、子どもの願いを実現しようとする取り組みに注目してください。

目次を表示

はじめに 第1章 危機介入と支援のはざまの中で  1.危機介入と支援のはざまの中で  2.保護者が子どもの安全づくりの主体者となるとき  おわりに 第2章 解決志向アプローチ(ソリューション・フォーカスト・アプローチ)による子ども・家族相談の展開  はじめに  1.解決志向アプローチの始まり  2.解決志向アプローチの前提   (1)解決志向アプローチの前提となる主な原則   (2)解決志向アプローチにおける面接者の姿勢  3.面接の展開   (1)問題の描写   (2)ウェルフォームド・ゴール(よく練り上げられたゴール)を創る   (3)ソリューション・トーク   (4)フィードバック(観察提案と行動提案)   (5)2回目以降の面接   (6)終結  4.解決志向アプローチの中心原理  おわりに 第3章 子ども虐待対応におけるサインズ・オブ・セーフティ・アプローチ  はじめに  1.サインズ・オブ・セーフティとは何か   (1)あるお父さんの言葉   (2)サインズ・オブ・セーフティの基本的な考え方   (3)サインズ・オブ・セーフティの目的   (4)質問をする・質問を重ねる   (5)サインズ・オブ・セーフティにおける安全(セーフティ)の定義  2.サインズ・オブ・セーフティ・アプローチの全体像とその道のり  3.サインズ・オブ・セーフティの道のり①~子どもとのマイ・スリー・ハウスによる対話~   マイ・スリー・ハウスによる子どもとの対話の実際  4.サインズ・オブ・セーフティの道のり②~マッピングによる共同のアセスメント~   (1)マッピングによる対話の全体像   (2)マッピングでは「うまくいっていることは何」から対話を始める   (3)「うまくいっていないことは何(心配なことは何)」の対話   (4)これからできると良いことは何(夢と希望の対話)   (5)セーフティ・スケール(SS)   (6)マッピングにおける対話の振り返り  5.サインズ・オブ・セーフティの道のり③~インフォーマル・ネットワークとセーフティ・ネットワーク~   (1)子どもの安全(セーフティ)とインフォーマル・ネットワーク   (2)インフォーマル・ネットワークを構築していくための対話  6.サインズ・オブ・セーフティの道のり④~安全づくりのゴールを目指す行程表の共有~   安全(セーフティ)づくりための行程表(トラジェクトリ)  7.サインズ・オブ・セーフティの道のり⑤~子どもとのことばと絵(ワーズ&ピクチャーズ)を介した対話~   (1)ことばと絵(ワーズ&ピクチャーズ)の手続き   (2)ことばに含めるアウトライン  8.サインズ・オブ・セーフティの道のり⑥~安全(セーフティ)プランの構築とメンテナンス~   (1)セーフティ・プランに期待されるアウトライン   (2)子どもにとっての安全(セーフティ)を教えてもらうセーフティ・ハウス   (3)安全(セーフティ)プランが確かに子どもの安全(セーフティ)を守ることになっていくための対話   (4)安全(セーフティ)プランを子どもに保護者・セーフティ・ピープルから説明する   (5)帰宅訓練  9.サインズ・オブ・セーフティの道のり⑦~セーフティ・ミーティングの継続と終結~   (1)安全(セーフティ)の日記(セーフティ・ジャーナル)   (2)安全(セーフティ)のしるし(セーフティ・オブジェクト)   (3)セーフティ・ミーティングにおける対話  おわりに 第4章 家族と児童相談所による実践の紹介 事例① 不協和関係から響働へ――1日でも早く家族皆がそろうために  はじめに  1.一時保護の始まり  2.一時保護後の対応経過   (1)家庭裁判所への申立て(児童福祉法第28条)まで   (2)家庭裁判所へ申立て後  3.施設入所後の対応経過   (1)施設入所を説明するワーズ&ピクチャーズ   (2)家族・親族と取り組んだ安全プランの作成   (3)安全プランを説明するW&P   (4)関係機関の理解を得るまでの道のり   (5)父母、親族、子どもたちへのインタビュー  4.ご家族との関わりを通した学び   対話 岡下×鈴木 事例② サインズ・オブ・セーフティを体験する  はじめに  1.三つの話を織り交ぜて   (1)サインズなき地にて   (2)川崎市の児童相談所   (3)その中の新任児童福祉司(私)   (4)潜入!薬味の会  2.初めてサインズ・オブ・セーフティを体験する   (1)通告受理、職権による一時保護   (2)所内の動き、児童福祉司(私)の動き   (3)「安全のしおり」で見通しを示す   (4)保護者にマイ・スリー・ハウスの絵を見てもらう   (5)マイ・スリー・ハウスを見たお父さんお母さんの様子   (6)関係の変化と児童福祉司(私)のとまどい   (7)お父さんが一歩踏み出す   (8)安全プランを作る   (9)一時保護から13日後、援助方針会議  3.保護者へのAI   (1)やり遂げる力   (2)児相が行って良かったこと   (3)AIから学んだこと   (4)発表の最後に  おわりに   対話 岩永×鈴木 第5章 中野区児童相談所のあゆみ――子どもの夢と希望を実現するために  はじめに  1.中野区児童相談所のあゆみ   (1)開設の経過   (2)サインズ・オブ・セーフティの導入・運営基本方針   (3)はじめてのサインズ・オブ・セーフティ   (4)組織に拡がる仕組み  2.子ども中心・当事者主体の実践   (1)一時保護の実践   (2)子どもの権利擁護の実践   (3)組織が人を支える仕組み  3.職員インタビュー――これまでのこと・これからのこと おわりに コラム  クライエントの問題と解決に対する認識  理解的問いかけ(AI=Appreciative Inquiry)によって生まれる支援者と家族とのパラレルな対話  保護者向けリーフレット「子どもの安全づくりの道すじ」~家族を安全づくりのための協働に誘う~  ファシリテイターの役割と3角形の対話  サインズ・オブ・セーフティにファミリー・グループ・カンファレンス(FGC)が与えた影響  セーフティ・ピープル版リーフレット  市区町村におけるサインズ・オブ・セーフティ  サインズ・オブ・セーフティの組織文化を創る理解的問いかけ(AI)

著者略歴を表示

鈴木 浩之

立正大学社会福祉学部社会福祉学科教授(元神奈川県児童相談所児童福祉司)。臨床心理士。公認心理師。社会福祉士。社会福祉学博士。 サインズ・オブ・セーフティ・アプローチ認定講師(Signs of Safety® Licensed Trainer)。GNCPTC(Gundersen National Child Protection Training Center)司法面接講師。 主要著書(共著)論文:『子ども虐待対応における保護者との協働関係の構築』(明石書店、2019、2020年度日本社会福祉学会学術賞受賞)、『ファミリーグループ・カンファレンス入門』共編著(明石書店、2011)、「子ども虐待に伴う不本意な一時保護を経験した保護者の『折り合い』のプロセスと構造」(『社会福祉学』57(2)2016、2017年度日本社会福祉学会奨励賞受賞)、「子ども虐待に伴う不本意な一時保護を経験した保護者への『つなげる』支援のプロセスと構造」(『社会福祉学』58(1)2017)など

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