- タイトル読み
- ココロハコウシテテキトミカタヲツクリダス : ブンダントアラソイノシャカイシンリガク
- 著者読み
- ナワタ ケンゴ
- 形態情報
- 240p
- 資料種別
- 図書
要約・抄録・解説
職場の人間関係、民族の対立からSNS炎上、陰謀論まで。人はなぜ「我々」と「ヤツら」に分けて考えてしまうのか。敵を作りがちな心のメカニズムを解明する。
目次を表示
はじめに――「我々」と「ヤツら」に線を引く心
ウチとソトで見え方が大違い/ウチとソトを分ける集団心理――社会心理学の視点から/「ヤツらを叩け」という心のクセ/ウチとソトは合わせ鏡/立ち止まって考えるために
コラム 用語説明
第一章 「我々」として敵と争う――社会的アイデンティティ
1 「私」から「我々」へと切り替わる
「我々意識」のスイッチがオンになる/集団の一員として自分を捉える/我々意識が攻撃に向かう二つの条件
2 紛争状況――我々のために戦おうとするとき
「我々」として怒る/具体例――個人の犯罪が「外国の脅威」に見えるとき/「我々」と自分が一つに重なる/国と自分が融合した人は国のために命をかける/外からの脅威が暴力と平和の分かれ目
3 優越感――「我々こそ上だ」と思うとき
「好き」と「優越感」を区別する/傷つきやすい特権意識/「わが国は偉大だ」というレトリックの危うさ/アイデンティティはなくすものではなく飼いならすもの
第一章のポイント
第二章 仲間が見ているから暴走する――賞賛獲得と拒否回避
1 褒められるために攻撃する――仲間内の英雄になりたい
前提――敵と戦う戦士は賞賛されやすい/賞賛を求めて攻撃する――英雄型集団暴力/暴力を良しとする規範があるかどうかが鍵
2 嫌われないために攻撃する――仲間はずれになりたくない
「非国民」だと思われたくない/本心ではない差別の表明/中国では「日本が好き」とは言えない?/みんなが叩くから自分も叩く/ここでも規範が鍵となる/二つの集団モードを整理する
第二章のポイント
第三章 「我々」はなぜ都合のよい世界しか見えないのか――内集団中心バイアス
1 同じ情報でも「ウチ」と「ソト」では違って見える
死刑は正しいに決まっている vs. 死刑は間違いに決まっている/自己中心的ならぬ内集団中心的/さまざまな内集団中心バイアス――民族紛争、党派性から労使対立まで
2 バイアスの原因は「結論ありき」で考えるから
先にある「望ましい結論」へと向かっていく/かしこいだけじゃダメですか?/かしこさが自分の立場を守るために使われる/偏見は「やっぱりそうだ」と「あれは例外」で残り続ける
3 バイアスにブレーキをかけるには
①「どちら側の主張か」をいったん切り離す――方向づけ目標を弱める/②「これは正確か」を問いただす――正確性目標へと切り替える
第三章のポイント
第四章 なぜ左と右はわかりあえないのか――イデオロギーと政治
1 政治イデオロギーはいかにして暴力と結びつくか
政治イデオロギーの基本軸――左派・右派とは何か/イデオロギーが生み出す敵意と攻撃性
2 右派的価値観はよそ者に厳しくなりやすい
右派と左派で善悪の基準がズレている/忠誠・権威・神聖さを大事にする保守主義者/国旗を踏んではいけないと思うのはなぜか?/内集団を守る道徳がもたらす排他性/「差別はダメ」はなぜ届きにくいのか?
3 左派集団 vs. 右派集団――党派間対立
イデオロギーと自分を同一視する/左派も右派も自分の党派をひいきする/なぜ党派的バイアスが生じるのか?/党派的バイアスは日常生活にまで広がる/嫌う強さは似ていても、嫌う対象は違う/「極左」と「極右」はよく似ている
4 インターネットで強まる政治的分断
広く開かれたネットに生まれる、狭く閉じた空間/道徳的怒りはネットで伝染する/「分断を過大評価しすぎない」ことも大事/人は偏る。それでも科学は偏りを減らすことができる
第四章のポイント
第五章 「よそ者」はいかにして「敵」となるのか――脅威・被害・報復
1 ヤツらの何がどう怖いのか?――脅威
外集団は「怖い」とすぐに反応/外集団の何を「怖い」と感じるか/「怖い」ほど攻撃的になる/アイデンティティが強い人ほど脅威を感じやすい/優位な立場だからこそ「奪われる」ことに反発する/煽られる脅威/相手が自分たちを嫌っているから「怖い」
2 やられたから復讐する――被害と報復
我々がやられて、ヤツらに仕返しする/どこでも見られる代理報復/集団間代理報復はなぜ起こるのか?
3 我々は被害者だ――被害感
我々は不当な被害者だ/被害感が敵意と結びつく/加害者と被害者の見え方の違い/被害者だから攻撃してよい――攻撃の正当化/被害者同士で苦しみを分かち合う
第五章のポイント
第六章 闇の勢力が我々を狙っている――陰謀論
1 陰謀論を個人ではなく集団心理から読み解く
陰謀論にハマるのは個人の問題か?/集団間紛争としての陰謀論
2 陰謀論で生じる二つの集団目標
陰謀論が居場所を作り出す/「我々は優れている」と感じたい/我々が不遇なのはヤツらのせいだ/危険な「敵」が見えてくる/過激な意見を持ちやすくなる/「戦わねば」が暴力のハードルを下げる/陰謀論は世界を見る枠組みになる
3 陰謀論にどう向き合うか
①予防――染まる前に「免疫」を作る/②相手を尊重した対話――信頼できる相手からの言葉
第六章のポイント
第七章 「やっつけろ」が当たり前の世界で起こること――暴力的な規範・文化
1 規範は集団のアクセルにもブレーキにもなる
2 暴力や偏見を後押しする規範
偏見は規範に縛られる/差別と攻撃が伝染する/ネット上でも「ヘイトがヘイトを呼ぶ」
3 文化に根づいた暴力的規範
「なめるなよ」文化が暴力を生む/名誉の文化が紛争に結びつく/「戦うのが当然」という空気も生まれる/政治家の言葉が「お墨付き」を与える
4 規範を反転させるためには――ヘイトから反ヘイトへ
①まずは目の前の差別を止める。それが規範を作る/②長期的に「それが普通だ」という空気を育てる/③「正確であること」を規範にする
第七章のポイント
おわりに――敵をつくる心を知ったその先に
注