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登録日:2026/5/29

ケースで学ぶ 司法犯罪心理学【第2版】――発達・福祉・コミュニティの視点から

出版社
明石書店
発売日
2023/8/24
ISBN
9784750356389
ASIN
4750356387

補足情報

openBDに収録されている書誌情報を表示しています。

ページ数
336ページ
価格情報
2,500円(税抜)

内容紹介

犯罪・非行の加害者・被害者の心理や少年法・刑法等の法的手続きの理解から心理的支援までを概説。特に、発達障害や虐待的環境等に起因する少年非行や刑事事件をはじめ、家事・民事分野における離婚、面会交流、養育費、親権等についてもケーススタディで取り上げ、より実証的な思考と理解を目指した一冊。 第2版では2022年の少年法改正の他、面会交流・共同親権問題を加筆修正した。

版元コメント

第2版によせて  2020年に本書「ケースで学ぶ司法犯罪心理学─発達・福祉・コミュニティの視点から」を上梓した。  あれから3年が経過したが,この3年の間に,司法犯罪心理学分野では大きな二つの社会的事象が生じている。  一つは,2022年の少年法改正,二つめは家族法制審議会による共同親権等の導入の可否についてである。  2022年の少年法改正は,これまで一律に20歳未満を対象としていたものを,18,19歳を「特定少年」として,殺人や傷害致死など故意に人を死亡させた事件に加えて,強盗や強制性交など法定刑が最低で短期一年以上の事件について,原則として検察官送致とすることや,「特定少年」のぐ犯の廃止,推知報道(いわゆる実名報道)の解禁など,少年法の歴史の中で相当の変化であり,18,19歳の少年についていわゆる「厳罰化」の方向に舵を切るものとなった。本書では,この少年法改正問題について,その背景や,若年成人を刑事裁判に付すことがどのような効果をもたらすのかなど,米国の研究成果なども盛り込んだ。世間は,少年も事件を起こしたのであれば罰するべきとの考えも根強いが,実際に刑事罰を与えることで,再犯防止になるのか議論していただきたい。  また,2020年に少年院を仮退院したばかりの15歳少年が,面識のない女性をショッピングモールで殺害した事件が検察官送致となり,2022年7月に福岡地裁の裁判員裁判で不定期刑上限の懲役10年以上15年以下の判決が言い渡されている。もちろん被害者や遺族の悲しみは想像を絶する。一方で,なぜこのような事件が起きたのか,虐待を受けた発達障害傾向のある少年の心理鑑定の見地からも解説を加えた。  家事事件関係については,2021年からはじまった法務省家族法制審議会では,共同親権の導入の可否など家族法に関する審議が始まっている。離婚後の子どもの養育を「共同」で行うということは,一見すると子どもにとって良いように思われる。しかし,家庭裁判所の調停で争っているケースやDV,子どもへの虐待が疑われるケースで離婚後の「共同」が行われることは,離婚後もDVや虐待などが継続したり,子どもの希望する進学や医療について別居親の合意が得られず子どもの意見・希望が拒否されることも予想される。海外では面会交流の際に子どもが殺害される事件も頻発しており,英国司法省は2020年に発表したレポートで,こうした面会交流の問題点を指摘し,親の権利よりも子どもの安全を重視すべきと述べている。このような国内外の親権や面会交流をめぐる情勢について,司法犯罪心理学を学ぶ読者に知っていただきたく,改訂版に取り組んだ。  司法犯罪心理学のテキストの多くは,犯罪理論や罪種ごとの説明から成るものが多いが,本書のオリジナルな点として,非行や犯罪を,特別支援教育学,コミュニティ心理学,司法福祉の3つの視点を軸に,なぜこのような非行や犯罪が起きたのか,生物学的要因,心理的要因,社会的要因からその背景を探るとともに,非行や犯罪をした人への個別的なアプローチだけでなく,地域でよい人生を送ることができるためのメゾレベル・マクロレベルの支援体制の構築について論じている。非行や犯罪をする人の背景を理解し,どのように地域で共生していくか,また,DVや虐待から子どもをどうやって守っていくか,その視点から,改訂された本書を読んでいただき,議論の一助となれば幸いである。

目次を表示

第2版によせて  はじめに 理論編 第1章 少年・刑事事件  1.犯罪心理学のアプローチ  2.司法(Forensic)とは  3.少年事件の手続き  4.国内外の少年法制  5.日本の少年法の歴史  6.非行の原因は何か――コホート研究から  7.日本の犯罪に関する統計  8.少年非行と家庭環境  9.少年非行と被虐待経験  10.少年非行と知能  11.少年非行と学習習得度  12.少年非行とLD(学習症)  13.少年非行とASD(自閉スペクトラム症)  14.非行・犯罪の「予防」とは  15.非行・犯罪をした人への「支援」とは  16.高齢者と触法行為  17.地域生活定着支援事業  18.犯罪の防止は可能か  19.治療的法学と司法福祉 第2章 家事・民事事件  1.家事・民事事件からのアプローチ  2.離婚の制度・法的諸問題  3.面会交流  4.裁判所命令による面会交流における子どもの心理  5.親権  6.子どものための面会交流  7.養育費制度の諸問題  8.子どもを育てるのは,親か社会か  9.後見 第3章 心理アセスメントとチーム支援  1.BPSモデル  2.新幹線内殺傷事件をBPSモデルで考える  3.さまざまな心理テスト  4.長所活用型アセスメントと支援  5.司法心理アセスメントの情報共有の問題  6.心理アセスメントのフィードバック ケース編 第4章 少年・刑事事件編  ケース1 県営住宅の家賃が払えずに中学生の娘を殺してしまった母親のケース――千葉県銚子市~ソーシャル・サポートの理論と実際  ケース2 祖父母を殺害した少年のケース――埼玉県川口市~虐待された子どもの心理と支援  ケース3 親から放任されてぐ犯行為(家出)を繰り返す少年のケース――埼玉県寄居町の補導委託「寄居少年塾」  ケース4 校内暴力を繰り返す中学生のケース――心理教育アセスメントを活用した長所活用型支援  ケース5 元名大生による放火・薬物投与ケース――自閉スペクトラム症(ASD)の人による触法事件の理解(1)  ケース6 福岡:少年院を仮退院した少年による殺人事件――刑事裁判で情状鑑定がなされたケース  ケース7 鉄道マニアの少年の窃盗ケース――父母がASD傾向の自閉スペクトラム症(ASD)の人による触法事件の理解(2)  ケース8 いじめを受けた中学生による校内での窃盗ケース――自閉スペクトラム症(ASD)の人による触法事件の理解(3)  ケース研究特別編 神戸児童連続殺傷事件4つの手記から考える――少年Aの手記,母親の手記,被害者遺族の手記,担当裁判官の手記少年の精神鑑定とは,被害者学とは  ケース9 家庭内暴力により少年院送致された少年のケース――地域生活定着支援とは 第5章 家事・民事事件編  ケース10 別居している子どもに会いたい,歌手岩崎宏美さんのケース――親権と面会交流とは  ケース11 別居親から子どもの養育費が送金されないケース――子育ては,親の責任か社会の責務か  ケース12 高齢者を地域で支える市民後見人のケース――品川区における成年後見  ケース13 子どもの意思を尊重する面会交流ケース――自閉スペクトラム症(ASD)を持つ子どもと家族  ケース14 子どもへの虐待と児童福祉法28条ケース――発達障害のある子どもへの虐待と,家族への支援  ケース15 ネグレクトにより貧困に陥った高校生のケース――社会資源とつなげるユースソーシャルワーカーの役割 終章 司法犯罪心理学とは何か? 生きづらさ,困難を抱える人々への支援とは Go to the people, Go to the community  あとがき  第2版あとがき  著者略歴

著者略歴を表示

熊上 崇

1970年生,立教大学文学部教育学科卒業後,家庭裁判所調査官として,札幌,いわき,東京,川越,横須賀で計19年勤務。その間,社会人大学院生として筑波大学大学院教育研究科リハビリテーションコース修了(修士:リハビリテーション),筑波大学大学院人間総合科学研究科生涯発達科学専攻修了(博士:リハビリテーション科学)。2010年日本LD学会研究奨励賞。 2013年4月より立教大学コミュニティ福祉学部助教,2018年4月より和光大学現代人間学部心理教育学科教授。専門は司法犯罪心理学,発達障害学。特別支援教育士スーパーヴァイザー,公認心理師。 【主な著書】 『発達障害を有する触法事例の心理・発達アセスメント』(単著,明石書店,2015),『長所活用型指導で子どもが変わる・part5――KABC-Ⅱを活用した社会生活の支援』(編著,藤田和弘監修,熊谷恵子,熊上崇,小林玄編著,2016,図書文化),『発達障害者の理解と支援』(分担執筆,梅永雄二編著,福村出版,2010),『日本版KABC-Ⅱによる解釈の進め方と実践事例』(分担執筆,藤田和弘ほか編,丸善出版,2017),「面会交流と共同親権」(熊上崇、岡村晴美編著、明石書店、2023),「心理検査のフィードバック」(熊上崇、星井純子、熊上藤子編著、図書文化、2022)など。 【主な論文】 「広汎性発達障害を持つ非行事例の特徴」『精神神経学雑誌』108(4),327-336,2006. 「広汎性発達障害を有する非行事例の頻度と特徴」『LD研究』18(2),138-146,2008. 「広汎性発達障害を有する触法事例の文献的研究」『児童青年精神医学とその近接領域』第49(1),25-34,2009. 「LD,ADHDの傾向を有する非行事例の頻度と特徴」『LD研究』18(3),274-283,2009. 「アスペルガー障害を有する触法少年の司法場面における行動特徴」『児童青年精神医学とその近接領域』50(1),16-27,2009. 「学習障害(LD)を有する少年非行に関する研究動向――日本と米国における,知能検査・学習習得度・転帰・介入の調査結果を中心に」『LD研究』20(2),218-229,2011. 「発達障害者と司法上の支援」単著,『リハビリテーション研究』,139,26-31,2009. 「発達障害(特に自閉症スペクトラム)を有する触法事例の現状と課題」『リハビリテーション連携科学』15(2),12-20,2014. 「子どもへの心理検査の結果のフィードバック――実務者への質問紙調査の分析と「学習アドバイスシート」の作成」『K-ABCアセスメント研究』,18,79-88,2016. 「矯正施設から退所した障害を持つ人への地域生活定着支援」『立教大学コミュニティ福祉研究所紀要』,4,19-36,2017. 「心理検査の検査者は子どもにどのようにフィードバック面接をしているか――知能・発達検査の検査者への調査と「子どもへのフィードバック面接手順リスト」の作成」『KABC アセスメント研究』,20,27-39,2018. 「保護者は知能・発達検査の結果をどのように受けとめているか――親の会へのインタビュー調査の分析」『KABCアセスメント研究』,21,25-34,2019. 「面会交流に関する子どもの心理と、子の意見表明に関する研究」『子どもアドボカシー研究,1,60-74,2023. ほか多数。

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